ネコ系女 #5-13
「ねぇタマって意外と策士だよ…ん」
私の唇はタマのそれで塞がれた。
目を閉じたタマがすごく綺麗で、こんな顔も出来るのかとすごく驚いた。と同時に、その表情を見れて嬉しかった。
会う度変わるタマの印象に深く深くハマっていく自分を感じながら、そのキスに応じるため、私もタマの背中を抱き締めた。
【ネコ系女は意外とピュア】
次の日、昼過ぎにくれいむにやってきたタマと笑顔で話す私を見て、姫代は尋常じゃないくらい喜んでいた。
どれくらい喜んだかと言うと
「うぅあぁぁんっ!よがったねぇ朝希ぃ〜!ハダ、ハダビズが…!でも本当にヨバッバァァァ」
このように鼻水垂らしながら泣くくらい喜んだ。
「姫代汚い、ほら拭いて。けど、ありがとうね。心配させちゃって…ごめん」
「ホントだよぉ〜ぅ。タマさん、朝希を宜しくお願いしますね」
顔を拭きながら姫代はタマにペコリと頭を下げた。
するといつかも見たようにタマも深々とお辞儀して
「いやいやこちらこそ!朝希さんを俺にくれてありがとうございます」
「これはこれはご丁寧にどうも…。でもまだあげたわけじゃないもん!朝希を幸せにしたげてくださいね」
「あったり前っすよ!世界一の幸せ者にしてやりますよ!ほんで結婚して子供いっぱい作って賑やかな家庭にして…」
タマの気合いがウザく思い始めてきたので
「もういいでしょ?」
この辺りで止めておく。
「姫代すっごい愛されてるね、ホント良かったねっ」
「良かったのかなぁ。ウザさが増しただけな気がする」
するとタマは私の肩をキュッと抱いて
「大好きだからウザくなっちゃうんだよ」
と言い優しく笑った。いつものヘラヘラしたのじゃない…。しかもまたそんなハッキリと…!
「ここ、職場なんで」
スッとタマの腕を抜け出す。これ以上あの顔で見つめられたら抱き付きたくなる…。
こいつ、なかなかデキル奴だな。
一方姫代は、そんな私達をニマ〜とした溶けそうな笑顔で見ている。
そしてゆっくり口を開けた。
「あのね、今度二人でうちに遊びに来て?紹介したい人がいるの」
嬉しそうな表情の姫代の誘いに、私とタマは目配せをして笑顔で頷いた。