ネコ系女 #5-11
「…おいし」
「良かったぁ」
私は薄まったカフェオレを一気に飲み干した。
「ごちそうさま。私、帰るね」
ここに長居は無用だ。
これ以上いたら、帰りたくなくなってしまう。
辛いのはイヤだ。
…好きになりたくない。
「えっもう?」
私はバッグを持って立ち上がり、玄関まで早足で歩いた。
「も少しいたらいいじゃん」
頷いてしまいそうになるのを必死に押さえた。
「じゃね」
声が震えていた。
タマの窓の方でガタンと鳴った物音が気にはなったが、私が立ち去ろうとした時だった。
「あ、ももちゃんが帰ってきたぁ」
のほほんとしたタマの声が聞こえて、心臓が跳ね上がった。
「えっ!?!?まじっ!?!?」
やばい、それピンチじゃん!修羅場じゃん!
こんな状況見られたら浮気以外の何物でもないじゃん!
「うん、今、窓の方から音したでしょ?」
今度は違う意味で跳ね上がった。
「窓から!?」
ここ二階だよねぇ?
「うん、いっつも窓から帰ってくる」
「いっつも!?」
何であえて窓から?そもそもここ二階だし、どうやって来んのっ!?
「そうだ!朝希にももちゃん紹介するね?」
「し、しょ!?」
こいつ頭腐ってんじゃないの!?!?
そんなこんなでタマは窓に向かって歩いて行ってしまう。
「まっ…」
タマの姿が消えカラカラと窓の開く音がした。そしてタマの声が廊下に響く。
「もーっ!またネズミとってきたのー?」
ええぇぇーっっ!?!?ももちゃんんんーっっ!?!?
「待って…っ!」
何を掴もうとしたのか伸ばした腕の先から現れたのは
「にゃあん─」
それはそれは綺麗なネコだった。
「何やってんの?」
続いてタマもひょっこり顔を覗かせる。