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未タイトル
【青春 恋愛小説】

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未タイトル-2

 次の日、夏目は学校に来なかった。勿論、連絡も入っていない。無断欠席か、それとも遅刻か。俺は出席簿片手に、扉から一番近い席の生徒に話しかけた。
「夏目さんが登校してきたら、後で化学室に来るようにって言っておいてな」
「はい、解りました」
快く承諾された。これでいい、……これで。


 俺が職員室から戻ろうとすると、化学室のドアの前に夏目が立っていた。
時計の短針は既に、3を越えている。
「……うぅぅ」
しかも、ドアを睨みつけながら唸っている。
「何をしているんだ、早く入りなさい」
「麻倉───先生!」
後ろから声をかければ、驚いたように目を丸くした。渋々とでもいった感じで、夏目は化学室へ足を踏み入れる。俺もその後に続く。何で、君はこんなにも可愛いのだろう。抱き締めたい衝動、そのまま壊してしまいたい衝動にかられる。
「……おはよう───じゃないな。こんにちは、遅刻だよ」
「うぅぅ………っ」
またもや、唸っていた。
「まぁ、立ってないで椅子に座りなさい」
「……はぃ」
実験用のテーブルに備え付けられた椅子を引き、座る夏目。膝に学生鞄を乗せている。
「はい、じゃあ遅刻した理由を教えて。まさか、交通機関の問題じゃないだろうからね」
「……寝坊、しました」
頬を赤らめ、うつ向きながら呟く。
「寝不足か」
「………」
コックリと頷く少女。
「しかも、もう授業も終わる時間だしな」
「でも、麻倉先生の顔が見たくて……。昨日、あんなこと言っちゃったけど」
「告白撤回?俺、やられっぱなしは嫌いなんだけど」「はぁ───」
「で、俺は夏目さんにやり返さないといけないわけ」俺は、ニヤッと笑った。
「………え?」
「俺は、夏目優が好きだ」「………え?」
「俺は、夏目優が好きだ」二回も言うとは思わなかったが、まぁ良い。そんなこともある。
「………………うそ」
「こんなことで、嘘を吐くか?」
「嬉しい………」
ぽろぽろと、いやぼろぼろと大粒の涙を溢す夏目。

 俺は彼女───夏目優の体を強く強くかき抱いた。甘い痛みと苦い幸せを噛み締めながら。
《…FIN?》


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