憂と聖と過去と未来 epilogue-2
「……」
起きると既に聖は出勤していた。
失敗した。
朝はいつも見送ろうと決めていたのに。
一度起き上がったものの、再びベッドに倒れ込む。
まだ帰宅してさほど時間も経っていないのだ。
眠くてしょうがない。
横になったまま、今日の予定を考える。
今日は休みだし、久しぶりにご馳走でも振る舞うか。
最近はおばさんの味に似てきたって言われるし、努力の成果は出ているらしい。
あたしは大学を卒業した後、短期で看護学校に入学した。
大学進学を応援してくれた家族や聖には申し訳ないけど、夢を追うことに躊躇いはなかった。
それからは猛勉強の日々だったけど、その結果、あたしは無事に看護士の道を歩み始めた。
聖と一緒にいる時間は少し減ったけど、今では同棲しているし、聖も理解してくれているから仕事での辛いことも頑張れている。
あの時から始まって、今も現在進行形で聖には助けられている。
これから先の未来も、ずっとそうなんだ。
だからあたしも、聖を助けられるように努力している。
今みたく、失敗することもあるけどね。
よし、もう少しだけ寝たら夕飯の食材を買いに行こう。
もう少しだけ、ね。
私達は今を、未来を生きている。