Lesson xxx UC-3
「俺は神崎が好きだぞ」
ズルいよ、先生。
こんな時にそんな事言うなんて。
どうしていいかわからず目を伏せた私の唇に先生の唇が重なった。
最初は軽く触れ合うだけのキスが角度を変えてだんだん深くなる。
キスだけでこんなに満たされるんだって思うと涙が溢れる。
「先生…。教えてくれるんでしょ…?」
南方先生との関係を。
私の涙を拭いながら先生は頷いた。
「彩は大学の同級生で…付き合ってた」
やっぱり…。
薄々そうじゃないかと思ってたし覚悟もしてたけど、先生の口から聞くと胸が痛い。
「教員になった時に別れてからずっと会ってなかった。一昨日学校に赴任してくるまでな」
私の手を握ってちゃんと目を見て話してくれる先生に先を促すよう視線を向けた。
「放課後、たまたま通りかかった教室で…」
聞いた内容はかなり衝撃的だった。
でも先生は淡々と話す。
だから南方先生は榊先生の家に来たんだ。
「神崎には悪い事をした。ちゃんと説明出来なくて…。熱まで出すはめになっちまって…。不安にさせたろ?」
先生は正直に話してくれた。
だから私も素直に頷いた。
「知らなかったから…。すごく不安で哀しくて…。先生はやっぱり大人の人の方がよくなったのかなって」
「バカか。大人も子供も関係ない。俺は神崎だから好きなんだよ」
珍しく照れてそっぽを向いてる先生が可愛くて、その背中に抱きついた。
「好きっ」
「さっき嫌いって聞いたような気がするな」
とたんに意地悪くなる先生って憎たらしい。
振り向きざまにベッドに押し倒され、思わず声を上げそうになったけど階下にお母さんがいるから慌てて口を抑えた。