Lesson xxx UC-2
翌日には熱は下がったけど学校に行く気分じゃなかった。
どんな顔して先生に会えばいいのよ…。
逃げてるのは自分でもわかってるし、いつまでも逃げれるものじゃないのもわかってる。
悶々と悩んでいても解決するはずもない。
一昨日から携帯は切ったまま。
時折電源を入れてみようかと思うけど、もし先生から連絡があっても何を話せばいいの?
あの日の事を聞くのも怖い。
南方先生との関係を知るのも怖い。
こんなにも意気地なしな自分が情けない。
夕方、ドアのノックと共にお母さんが顔を出した。
「結衣。榊先生がお見えよ」
えっ!?
お母さんが少しドアを開くとその後ろに先生がいた。
「どうぞ。散らかってますけどごゆっくり」
「お母さん!」
先生が訪ねてくるなんて想像もしてなかった私は軽くパニック状態になっていた。
「近くまで来たからってわざわざ寄って下さったのよ?ちゃんと挨拶しなさいね」
先生に笑顔で会釈してお母さんは階下に下りた。
お母さん!
この人は単なる担任教師じゃないんだよー!
言えるはずもない言葉を飲み込んで後ろ手にドアを閉める先生から目を逸らす。
「具合はどうだ?」
何事もなかったように話しかける先生が憎らしい。
「………………」
無言でそっぽを向く私の顎に指をかけて無理矢理先生の方に向けられる。
それでも一言も発さずひたすら先生を睨む私に先生は小さくため息をついた。
「一昨日は…悪かった…」
私の頬を手のひらで包んで額を合わせた。
「……先生なんか嫌い」
「本当に嫌いになったのか?」
答えに詰まる私。
ホントに嫌いならこんなに悩んでない。