由里子と先生3-5
由里子にとっても思いは複雑だった。
神木とはゆっくりではあったが、確実に愛情が深まっているのを感じていた。
そんな時に見舞われた佐々との突然のキスは、由里子にとっては避けられない事故のようなものだった。
由里子から見た佐々の魅力は、神木の太陽のような明るさとは対照的に、月のように静かで、冷たく尖った部分を隠し持つようなところにあった。
もちろんいつもの佐々は頼りがいがあり、クラスのみんなにも慕われる先生だった。
しかし時々、佐々は由里子を射止め、そこに縛り付けてしまうような鋭いまなざしを向けることがあり、その佐々の行為が、由里子の体内の柔らかい部分をつかみ、離さなかった。
由里子は太陽の光と月の影…、2人の持つそれぞれの魅力に同時に魅かれていた。
由里子の心の安定をはかるためには、神木と佐々どちらも同じくらい必要な存在で、どちらか1人を選ぶことは、この頃の由里子にとってはできなかった。
由里子は佐々との関係が始まったこの半年間で、さらに美しく成長を遂げ、どこか骨張って固い印象だった少女の身体から、丸みを帯び柔らかな大人の女性の身体へと変化していた。
あどけなく、どこか幼げだった表情はキリッと引き締まり、フワッと柔らかだった頬の線は大人のシャープな顔立ちへと変わっていた。
佐々は長椅子に投げ出された格好の、由里子の身体の上にまたがり、馬乗りになった。
由里子は佐々から逃れようと暴れたが、佐々の下半身の重みに耐えきれず、虚しく抵抗をあきらめた。
おとなしくなった由里子を、気をつけの形にさせ、上から腕を押さえ完全に動きを封じた。
「先生痛いよ、もうやめて…。」
無抵抗な由里子は懇願するが、佐々は聞く耳をもたない。
ムチュ―――。
佐々が突然強く由里子の唇を吸い上げた。
「ひゃ…ん、いたいっ。」
由里子はその痛みに思わず悲鳴をあげる。
佐々はそんな由里子に構わず、由里子の唇を激しく吸い始めた。
チユッ、ムチュー。
「んっ、はぁ、くぅ…。」
由里子はあまりの痛みに、足の先まで痺れが走り、のけぞった。
「も…もうゆる…して。」
ボーッとした頭に遠くから佐々の声がする。
『由里子…神木のキスとどっちがいい?』
カミソリの刃のような冷たい佐々の声だ。
「…………。」
答えられない由里子をさらに佐々の唇は責め続けた。