距離〜進と白〜-1
義明が琥珀と付き合うより前の、6月末。
テストが終わり、夏休みも目前ということで、皆どこか活気づいていた。
そんな中、いつものように剛や順平らと昼メシを食っていた進に、メールが来た。
「あ?誰だこいつ」
「どしたー進ー」
「いや、知らないアドからメール来てさ」
「どれどれ、見せなさいっ。………“初めまして。3年の城内白と申します。進くんのアドレスは同じクラスの杏から聞きました。”……だってー。杏ってさ、あの…」
「えっ、杏?俺の彼女?」
「うちの学校の杏っていったらたぶん函南先輩しかいないべー」
「だよな…杏だよな…。で?」
「“いきなりで恐縮ですが、進くんにお話ししたいことがあります。今日の6時半に会って頂けないでしょうか?”だってさ…。おいおい進ちゃーん、これって恋の予感じゃないー?」
「はぁ?だいたい顔も知らねーんだぞ、その白って人。つか何て読むんだ…。しろ?はく?」
「順ちゃん、この人知ってるー?」
「えーっと……城内…城内………あっ、見たことあるわ!いつも杏と一緒にいる人だわ!」
「函南先輩とよく一緒にいる人ってー………あ!あのちょい茶髪で巨乳で色白の美人の先輩じゃねーの!?」
「そうだ!…確か“はく”って読むんだよ。杏いわくめちゃくちゃ頭いいらしくてよ、しかも家も金持ちらしい…」
「進ちゃん、やったねー」
「周りの男子からしょっちゅう告白されたり手紙渡されたりしてるらしいけど、全部却下だとか。あんだけの美人で頭いいのに一切男に興味ないらしいぜ」
「そんな人に呼び出されるなんてよー、やったじゃん進ぅー」
「何がだよ…。別に告白されるわけでもないだろうし」
「いやーこれは明らかでしょーん。ちょっと携帯貸してー」
「…?はい…」
「…………………はいっ、オッケーなりよ」
「あっ!剛…なに勝手に返信してんだバカ…」
「いいじゃーん。“6時半に中庭の花壇沿いの一番大きなベンチで待ってます”って、なー?ちゃんと行くんだよー」
「うわっ……だりぃ…」
「あっ…そういえばこの前…」
「順、どうしたー?」
「いや、進のアドレス……………いや、何でもないわ」
「?」
進はいつもつるんでる剛らの中でも特にドライで、あまり感情の上がり下がりが無い。
且つ一番冷静でもあるのだが、それ故によくからかわれることもある。
また彼らの中でも大人しい方で目付きが鋭いが為によく不機嫌に見られることがあるが、本人はいたって上機嫌だったりする。
賢とは違う意味で口が悪いのが特徴でもある。