距離〜進と白〜-5
翌日。
剛達のクラス。
2限目の休み時間に城内が顔を出した。
クラスがざわつく。
「あの、剛くん?」
「え!?あ、はい!なんでしょーか!?」
「進はいる?」
「あ…えーっと……あ、あいつ今トイレっす!たぶん大きい方っす!」
「あ、そっか。直接渡したかったのにな」
「あいつに何かお届け物でしょーか?なんでしたら俺が渡しておきますけどー」
「あ、じゃあ悪いけどこれを進に渡して貰える?たぶんすぐ分かると思うから」
「了解っすー!」
「じゃあよろしくね。私はもう教室戻るから。失礼しました」
「あっ、いえいえ!お気をつけて!」
調度城内と入れ違いで進が戻ってきた。
「あースッキリした…」
「おい大便ー!これ、お前が大便垂れ流してる間に城内先輩から渡すよう頼まれたぞー!」
「誰が大便だボケ!って…あ、これ…」
「これなんなのだー?」
「弁当…」
「あぁ、お弁当ですかー。そうですかー。…え?」
「いや、昨日の夜電話で弁当作ってきてくれるって言ってたんだけど…まさか本気で作ってくるなんてよ…」
「えーと大便、聞きたいことが山ほどあるんだけれどもー…」
「だから大便って言うな!えーっと…だから、まぁ白と付き合うことになったからさ、それで、な」
「こんなウンコ野郎が城内先輩とー!?そんな冗談水に流してしまえー!あっ…今の上手いな…」
「剛…そろそろキレていいか…?」
「え、だってギャグっしょー?」
「ギャグじゃねーよ!マジなんだって。昨日の呼び出し、ほんとに告白だったんだよ」
「えーっ…」
「俺だって今だに信じられないしよ…。あっ、そういえば髪の毛何色だった!?」
「そういえば黒になってたなー」
「マジか…」
「?」
この日以降の進の昼食の弁当は全て城内の手作りで、城内が先に卒業してからも変わらずに続き、後に進が卒業するまで、そして卒業してから大学、就職…と生涯続いた。
城内はこの経験から後に美人料理研究家として名を馳せることとなる。