憂と聖と過去と未来 7-1
どうしよう。
「……」
「……」
朝、マンションのエレベーターで聖と二人きりになってしまった。
聖に会ったのは、この間の学園祭で結局逃げてしまって以来だ。
聖は今どう思っているんだろう。
昔のこと。
今のこと。
あたしのこと。
あたしは…聖のこと…
チーン。
重苦しい空気を取り払うかのように、エレベーターは到着を告げた。
あたしは先に降りて急ぎ足。
どうしても聖を避けてしまう自分がいる。
再び聖と会話を交わして、昔のような時間を過ごす。
それがどんなに幸せかはわからないけど…もう無理だよね、聖。
あたしはまた、あなたを傷つける。
「憂っ!!」
「!?」
幻聴だろうか。
大好きな声が、あたしの名を呼んだ。
「ひじ…り…」
ゆっくり振り返ると、聖がゆっくりとあたしに向かって歩いてくる。
「一緒に行こう」
「…あ…え…」
きっと今のあたしの顔はひどく滑稽だと思う。
目を見開いて口をぱくぱくと動かして。
「ほら、電車に乗り遅れる」
「あ…うん」
そのまま足を止めることなく歩く聖を追いかける。
その大きな背中を見つめながら、あたしは小さく首を傾げたのだった。