心霊ファイル…怨み3-1
あの後、どうなったかと言うと…
あまりにも苦しそうな杏里に、真澄さんが見かねて救急車を呼ぼうとした。
でも杏里ったら、それをキッパリと断ってしまった。
本人が自分の足で帰宅するつもりだったのだ。
だけど、見ただけでもキズやアザだらけだし…
何だかヒドく痛そう。
実際…
杏里はあまりの痛さに、途中でへたり込んでしまった。
結局、杏里のお姉さんである吉岡友里恵さんにクルマで迎えに来てもらうハメになったのだ。
ホント、杏里ってとんだ災難。
その杏里は、しばらく学校を休む事にした。
夜、私は電話で結菜と語り合った。
話題の中心は勿論、杏里の事だった。
仁美さんにボコボコにされた事に、結菜は怒りが治まらない様子。
それと同時に、杏里の忍耐力にとても関心を示している。
結菜は言う。
「私だったら、気が狂って仁美さんを叩き殺していたかもね」
「私もだよ」
そう、私だって…
結菜と同じ気持ちなのだから。
結菜は更に、杏里の心の内を語った。
「いくらタフな杏里でもサァ、内心では嫌気がさしたと思うよ」
「杏里がァ? うーん、どうかなァ?」
「あんなヒドい事をされたんだし、絶対に嫌になったハズだよ」
となると、杏里はもう…ルリ子さんへの施しを止めるかもしれないって事になるよね?
真澄さんが言ってた事とは状況違ってたし、もしかしたら…
イヤイヤ、杏里が人救いを放棄するなんて有り得ない。
どんな事があっても、物事を最後までやり通すのが杏里の良いところ。
普段はドジだし。
酒癖悪いし。
結構、スケベなところもあるけど…
根は真面目なのだ。
今まで、超常現象的修羅場を乗り越えて、タフになっているし。