心霊ファイル…怨み3-4
真澄さんなんか…
仕事仕事の毎日だったから、家の事は奥さんに任せっきり。
香織さんの異変には気付かなかったのだ。
仁美さんはずっと前から母親の行動は知っていたものの…
ルリ子さんから脅されて、怖くて何も言えなかったと言う。
仁美さんの母親に対する思いは恐怖心から…
香織さんの死をキッカケに、怒り憎しみへと変わってゆく。
杏里の好意を拒んだり、ルリ子さんを無理矢理退院させたのは…
同じ苦しみを、母親に味わせる為。
母親の死も覚悟した、仁美さんの復讐である。
「徹底的に苦しめてやる」って、思っていた仁美さん。
母親に対する虐待まがいの事をしている自分自身に対して時折、虚しさを感じる事もあった。
母親への仕打ちをやめてしまおうと思う事もあったのだ。
ところが…
「何故やめる? 母親が憎いのであろう?
続けろ、続けるのだ」
声なき声に誘惑されて、心が乱されると言う。
仁美さんは感情を押さえきれない自分自身と…
目に見えない恐怖に怯えるようになった。
杏里に対して暴力を振るった事で我慢が限界に達し、今の状態から逃げようと考えた。
…もう、どうなったって 構わない…
自暴自棄になった仁美さんは家を飛び出して、街を徘徊し続けた。
気が付いた時は、警察に保護されていた。
…と言うワケかな?
真澄さんは仁美さんの今の心のウチを知って驚きを隠せない。
歩美さんの方は、凄く冷静だった。
仁美さんには何かが取り憑いてる事は、既に分かっていたのだし。
でも雑誌に載っていたのと、同じ出来事を目の当たりすると…
やはり怖いの一言に尽きるみたい。
ところが…
「お父さん、どうするの? このままだと、お姉ちゃんは殺されちゃうかもしれないし私たちみーんな、化け物に狙われて死ぬかも」
「バカ、縁起の悪い事を言うんじゃない。
仁美が死ぬワケがないだろう。化け物なんて、バカバカしい」
驚いた。
真澄さん、仁美さんが言った事を信じていないみたい。