心霊ファイル…怨み3-3
記事を読む杏里。
「歩美さんもそう思ってたんだ?」
「吉岡さんも?」
「勿論よ。アナタのお姉さん、魔物か霊が憑依しているのは間違いない」
杏里は既に、仁美さんを中心とした柳沢家の霊的異変を感じていた。
屋敷全体を包み込む暗く陰気な空気…
仁美さんの体から発する怪しげな霊気…
何らかの存在が柳沢家に取り憑いているのは間違いないようだ。
悪魔か怨霊か、或いは邪霊なのか?
事態はいよいよ、確信に迫って来たかも。
行方不明になっていた仁美さんは3日後に警察に無事、保護された。
署まで迎えに来た真澄さんは何も言わず、仁美さんを自宅に連れて帰って来た。
「良かった、お姉さんが無事で」
仁美さんの無事な姿に、歩美さんもホッと胸を撫で下ろす。
それにしてもお姉さん、随分とやつれてしまっている事…。
表情も暗いし…
全く元気がない。
何故か、ルリ子さんの顔を見ようともしないし何だか気になる。
仁美さんゆっくりと風呂に入った後…
食事を取り、気分的にやっと落ち着いた。
そして一息付いてから2人の前で今までの事を落ち着いた口調で話し始めた。
ルリ子さんが精神病に犯され始めた頃…
仁美さんは毎晩、怖い夢を見たり、幻聴を聴いたりして情緒不安定になった。
ルリ子さんに対しては何と、憎しみを抱いていた。
香織さんが亡くなった時だった。
ルリ子さんは何もせず、病で苦しんでいた香織さんをそのまま放置していたと言う。
ずっと前から香織さんを毛嫌いし、幾度か虐待をも行っていたらしい。
不運にも香織さんの事は他の人には気付いていなかった。