心霊ファイル…怨み3-2
あれから2日ぐらい経って…
歩美さんが1人、私に案内されて杏里の住む学生マンションを訪れた。
何と、仁美さんはあれから家を出たまま帰って来ていないらしい。
杏里が心配し始める。
「どこに行ったのか、心当たりないの?」
「今のところは全く。
警察には捜索願いを出してるんですけど、まだ見つかりません」
心配気の歩美さん。
仁美さん、どこ行っちゃってるんだろう?
「お母さんは今、どうしてる?」
「ウチにいます。ところで…」
歩美さんは仁美さんの最近の様子を、初めて語ってくれた。
仁美さんって何だか怒りっぽく、気性の激しいイメキャラに見えるけど本来は…明るくて気さくな人なんだって。
家庭では暗く陰気な上に、ほんの些細な事でもカッとなったりイライラしたりしている。
時にはヒステリックに怒鳴り散らして周囲をハラハラさせている事もよくある。
その上、よく1人でふさぎ込んり何かに怯える素振りを見せたりする事もある。
…大体こんな感じ。
更に歩美さんは私たちの耳を疑うような事を口にした。
「先輩たちお2人は信じてくれないと思いますけど…」
「なーに?」
「姉ったら…母が元気にをなる事を…願ってないみたいなんです」
願ってない?
「まさか。そんな事ないんじゃない?」
「最初、私もそう思っていました。でも姉は…
吉岡さんからの施しを拒んだり、キチンとした治療を受けさせようともしなかったし、ハッキリ言って母への態度がヒドく冷たいんです。私…
最近の姉の行動を見て、段々と本心が見えて来たような気がして」
「だとしたら何故…
そんな事をするの?」
「分かりません。
父も分からないと首傾げています」
「そう」
「もしかしたら、姉も同じように…」
歩美さんはバッグから1冊のB6サイズの雑誌を取り出した。
『心霊恐怖の館』と言う、いかにもマニアが読みそうな雑誌である。
歩美さんは雑誌をめくり、或るページを私たちに見せた。
そこには、霊に取り憑かれた人々の恐怖体験を紹介した記事が載っていた。