距離〜美沙と賢〜-3
そんなやり取りを一時間程続けた翌日。
学校。
「昨日も電話してさー、どういうわけか私さ、“気に入ってんだぞ”的発言しちゃったのよねー。なんか話してておもしれーからー」
「おっ、美沙っち大胆やね!」
「賢は何て言ってた?」
「“上から目線だな”とか、“悪い気はしねー”とか」
「素直じゃねーなー賢も」
「あいつも暫く彼女いなかったしさー、それにああ見えて実は美沙っちのこと気になってんだぜーへへ」
「そうなのかー?全くそんな気はしなかったけどー」
「まぁキャラ的にあんまりそういう事は表には出さないよ」
「ふーん…」
その日の晩。
佐山の携帯に知らない番号から着信が。
「…もしもし、佐山ですけど」
「あ、賢です。覚えてるかな?剛とか順の中学ん時の連れで、この前一回だけ会ったよね?あ、番号は剛から聞いたんだ」
「あー賢くん!どうしたのいきなり」
「や…あのさ、田中さんのことなんだけど」
「美沙がどうかした?」
「剛からさ、田中さんの誕生日が近付いてるとかなんとかって聞いてさ。いつなのかなーって思って」
「あれ?剛くん知らなかったの?」
「“いつだっけなー忘れちゃったなー”だってさ」
「…剛くんらしいなぁ。美沙の誕生日はね、明後日だよ。10月24日」
「ありがとう!じゃね!」
「えっ…あっ…切れてる……」
翌日の夜。
「もしもし、賢だけど」
「おー。なぜいきなり電話ー?」
「メールめんどくせーから。あのさ、明日ヒマ?」
「普通に学校だぞー」
「いや、その後」
「その後はねー、幸とメシ食いに行く予定だけどー」
「じゃそれキャンセルして。ちょっと会おう」
「えー?なにそれ唐突だよー」
「いいから。明日学校終ったらすぐそっちの学校の校門行くからさ、待ってろよ。じゃまた明日」
「えっ、おい……えーっ…」