……タイッ!? 第三話「診察しタイッ!?」-34
「あーあ、ベトベト……なあ、あたしこのまま帰るわ。つか、皆にあわす顔無いよ……」
はははと笑う綾はシーツを剥がして紀夫に放る。
「言っとくよ。でも綾、あのさあ……部活でも、もう少しうちとけてくれないかな……?」
「ああ、わかってる」
綾は紀夫の頭を抱き寄せると耳たぶを痛い程度に噛み、
「あたしは変じゃないもん……」
「うん……」
それだけ言うと綾はブラとショーツを正し、名残惜しそうに愛液の糸が伸びる結合部を「んくっ……」と呟きながら離し、身支度を整え始める。
天高く上った陽射しがブラインドの隙間から差し込み、カーテンを開けると目が痛かった。
センスの悪いジャージを穿きなおし、例の箱を元に戻すと、綾は手を合わせて「さき帰る」と舌を出して笑っている。紀夫は「まかせて」と手を振ると、彼女は元気良く廊下を走って行った。
――シーツ三枚、今から回せば帰る前には……。
証拠隠滅に奔走する紀夫には、駆け出す音が歪な和音になっていることに気づけなかった……。
続く