……タイッ!? 第三話「診察しタイッ!?」-25
「へろ……ん、ちゅぱ……はむ……」
タオルで目隠しされたまま、差し出される足にすがりつき舌を這わせる自分。客観的に見る術がないことに安堵しながら、彼女の望むままに淫行を続けた……。
「な、なぁ……なぁ、あのさ、見えてないよな……」
おぼろげながら彼女の姿は見えている。だが、余計なことを言えば彼女の信頼を失うことに……。
「うん。見えないよ」
既に目的と希望を混同している紀夫はただ頷くのみ。
この状況での新たなお願いなど……。
「じゃあさ、もう一つ頼みたいところがある……かも。あのさ、嫌ならやめてもいいからな。ほんと、やめてもいいから……」
「うん?」
「えっと、脇? だぞ、脇。えっと、もう一回さ、臭いを嗅いで……」
脇を強調するくせに綾は何故か中腰になり、短パンを下ろし始める。
「綾?」
「えっと、なんか汗かいてきたし、もしかしたらそれがあたしの臭いの原因かもしれないし……、ほんと悪いな、でも頼む……」
ピンクの布地と黒のフリフリのついたショーツが目の前に落ちるのを、紀夫は気付かれないように目で追っていた。
膝を立ててМの字に開脚する綾の表情は、繊維の隙間から目を凝らしても見えそうに無い。
「うん。いいよ……」
善意ではなく、マネージャーでもなく、ただ男として……。
「そのまま、そう、まっすぐ。あ、腕に当たる……」
目隠しをしていることになっている紀夫は、綾の指示に従って芋虫のようにベッドの上をうねる。とはいえ、ある程度は見えている彼には、彼女の言う腕が太腿であることもしっかりばれている。
綾は秘所への愛撫を望んでいる。そして、紀夫はそれをしたい。
互いの利害、思惑が一致している以上、この奇妙なゲームが破綻をきたすことはない。それこそ外部からの茶々が入らない限り。
「ここ……だね?」
鼻先に癖のある陰毛が刺さるのを合図に綾に聞きかえす。
「ん、そうだ。どうだ? 変な匂いする?」
「ん、えっと……あの……」
目隠しをずらしてしまいたい衝動があるが、それだけはできない。というより、今それをしたら女性器を舐めるという下卑た好奇心が台無しになる。あくまでも脇の匂いを嗅ぐことが目的なのだから。
「わかんない。舐めちゃだめ?」
「ん、あ、えっと、まあ、少しなら……」
「そ、じゃ、するね……はむ」
もう遠慮は要らないと、紀夫は身を乗り出し叢にダイブする。