由里子と先生2〔特別編〜茜色の保健室で〜〕-8
由里子は泣きやんだばかりで、時々ヒックヒック言っては佐々に笑われていたが、自分の胸の内を正直に打ち明けた。
由里子の訴えを聞き終えた佐々は、真剣な顔に戻っていた。
佐々は由里子に制服を着るように指示すると、パーテイションの向こうに消えた。
由里子が着替えを終え、暮れかけの西の空を見ていた佐々の横に並んだ。
佐々が由里子の方に体ごと向いた。
手を広げ胸に由里子を迎え入れる。
『なぁ由里子。俺お前のこと大事にするよ。』
由里子は嬉しくて、また泣いてしまいそうだった。
『返事はしなくていい。そのまま聞いてくれ。お前は俺の過去の彼女や女友達のことが気になってるかもしれない。でも俺にとっての特別な人は、この先もずっと由里子1人だ。だから今はまだ焦りたくない。お前が俺の方に向いてくれたから、それだけで俺は生きていける。解るか?由里子…。』
由里子は何度もうなずいた。
頬を温かい涙が幾筋も伝っていたが、嬉しい涙はぬぐいたくなかった。
佐々の腕の中は由里子にとってはゆりかごだった。
いつまでもこうしていたいと目を閉じた。
おわり