距離〜順平と杏〜-6
翌日。
昼休み。
剛と順平と義明で昼メシ。
「ってわけで、付き合いました」
「マジかよーっ!」
「呪い殺す!」
「いや剛、それはおかしいって…」
「だって函南先輩ってあれだろー、2-8の函南先輩だろー?すげー綺麗な人じゃーん」
「明日別れねーかなー…」
「おいよっちゃん、今何て…」
「そんなことならもっと本気で書類書けばよかったー!」
「よっちゃん、あれだって本気だったじゃんよ…」
「剛!俺を甘く見るなよ!」
「まぁまぁ、とにかくよっちゃんのこのアホっぷりのお陰よ。かなり助けられたわ」
「じゃ仲人は当然俺か」
「そこはよっちゃんじゃなくて俺よねー」
「剛ではないだろ!」
「つかお二人、気が早いって…。あっ、電話だ。もしもし。うん。うん。今ね、剛と義明と昼メシ食べてるよ。うん。杏は?そっかー大変だね。え?あ、ありがとう!うん。うん。あーうん。ちょっと待ってね…。剛、今日も6時くらいには部活終わっていいよなー?」
「お前だけ9時半まで居残りだボケッ」
「もしもーし、6時くらいに終わるよ。杏は?うん。うん。了解っす。じゃぁ帰りにね。うん。下駄箱ね。はーい。じゃねー」
「よっちゃん…どうするよこいつ…。早くもタメ語だし…」
「………去勢!!」
「ちょ待て!!マジ勘弁してくれって…」
「そんな不潔なお付き合い、お母さんは許しませんよ!」
「いやいや、ほんと勘弁……。まだキスしかしてないんだし…」
「昨日の今日でそこまで…。よっちゃん…どうする…」
「お前の家に俺の陰毛入りの不幸の手紙送り込むからな!」
「手口が古いし汚ねーって…」
この会話の5年後、義明は仲人として本当にスピーチをすることになるのを、まだ本人は知らない…。