距離〜順平と杏〜-5
「黒髪のストレート……うちは結構多いよね」
「でその人は、黒縁の眼鏡かけてて、生徒会と家庭部の二つを掛け持ちしてて、今俺の目の前に座ってます」
「……………え?」
「函南杏さん。先輩が好きです」
「……………え?」
「言っちゃった、俺!恥ずかしい!あ、こんなもんガキの戯言だと思ってスルーしちゃって下さいね」
わざと明るく、恥ずかしさを紛らすように言う順平。
その順平を神妙な面持ちで見つめる函南。
「戯言……なの?」
「え、あ、いや…本気なんすけど…」
「あの……………私も順平くんと同じって言ったら、どうする…?」
「えー!?年下を弄ばないで下さいよ!もう…そんなご冗談…」
「…本気だよ………。私も、順平くんが好きなの」
「えっ…」
「だから、もし宜しければ、私と付き合って下さい!」
ダンッ!!ガタンッ!!
急に立ち上がり、順平は函南を残して生徒会室から出て行った。
「え……?あ、ダメだったのかな……フラれちゃった……」
ダンッ!!ガタンッ!!
また突然、順平が戻ってきた。
「なっ…順平くん…顔濡れてるよ…」
「あっこの洗面所で顔洗ってきたんです。かなり熱くなっちゃったんで。で……」
「……?」
「よろしくお願いします!」
「えっ?………いいの?」
「当たり前じゃないすか!もう興奮して10日くらい寝れないっすよ!」
「あ…ありがとう。よろしくね」
「はいっ!」