距離〜千華からの視点 2〜-2
剛よりももっと良い男はいるはず。
あの女に譲るとしましょうか。
負け惜しみみたいだけど…。
それに、ステージであの女と一緒に踊ってる剛の笑顔…あんなの見たことないよ。
あーぁ、なんか悔しいなぁ。
「…華、千華」
「え、あぁごめんごめん。何?」
「何って、ダンスサークルのショーなんか見てて大丈夫?辛くない?今だってボーッとしてたし…」
「んー…。まぁ辛くないって言ったら嘘になるけど」
「でしょ?それにほら、あの子も一緒に出てるし」
「…………」
「ね?もうここ出よ?」
「いいよ、大丈夫。見てよう」
「え?いいの?」
「うん。だってまだ始まって10分くらいしか経ってないし。まだ盛り上がるのはここからでしょ」
「…でも…」
「いいよ、気にしないで。それに…あんなに楽しそうな剛みたことないし。私と二人の時、あんなにはしゃがないし。どうせなら見てたいよ」
「千華…」
「それにね、もういいんだ。友達に戻っただけだし。こっちの方が気が楽だよ。しかしあんな女のどこがいいんだかねー」
「……」
「私は私で、もっと幸せになるから。あの女なんかより、もっとね。あーでもこうやって改めて見てると、やっぱり剛はカッコイイわー」
「千華…今日は呑もうか」
「んーいいねー!パーッとね!」
これからは友達としてよろしくね、剛。