SEXの条件・学級委員長 川崎静奈 @-1
「初めてのエッチは、とにかく痛い」と聞いていた。
だから、痛みに対する覚悟は十分にできていたつもりだ。
でも実際「事」に及んでみたら、痛みよりもその前の行為――つまりはいわゆるゼンギ――のほうが私にとっては遥かに苦痛であるということがわかった。
真っさらのカラダを初めて他人に触れられる感触は、まるでヒルかナメクジの大群に襲われているようなおぞましさで――。
こんなことが世界中のありとあらゆる場所で毎日行われているなんて、ホント信じられない。
男の生暖かい唇が私の乳輪にぴったりと吸い付いて、口に含んだ乳首を飴玉みたいにちゅくちゅくと舐めまわす。
それと同時に、茂みをまさぐっている指が割れ目の中にヌプリと滑り込み、敏感な突起の上を意地悪なリズムで掠めていく。
肌にまとわりつく男の唾液と、自分自身の毛穴から吹き出した脂汗で、全身がべとべとに濡れていくのがわかった。
―――気持ち……悪…っ。
こんなことに何でみんな夢中になるんだろう?
慣れればこれを「イイ」と思えるようになるんだろうか……?
しかし、胸に渦巻く違和感とは裏腹に、私のカラダには微妙な変化が起き始めていた。
男の舌や指先が敏感な部分に触れる度に、激しい不快感と共になんともいえない淫靡な刺激が微弱な電流のように私の身体を駆け巡る。
認めたくはなかったが、私の未開拓の亀裂の奥からは、じわりじわりと甘い蜜がにじみ始めていた。
その意味が何であるかぐらいは、処女の私にもわかる。
「――濡れてきたよ」
耳を塞ぎたくなるような、男の無神経な実況中継。
やだ……やだっ……。
自分自身に裏切られたような深い失望感の中、私は「せめて情けない喘ぎ声だけはあげるまい」と唇を強く引き結んでいた。
「気持ちよかったら声出していいんだよ」
白々しくも優しげな男の声。
ついさっきナンパで出会ったばっかのアンタにそんなに馴れ馴れしくされる筋合いなんかない。
確かにホテルに誘ったのは私だけど……セックスを楽しむつもりも余裕も、今の私には全くないのだ。