SEXの条件・学級委員長 川崎静奈 @-5
「―――どう?……ハァ…ハァ…気持ち……イイ?」
男がやたらと荒い息を吐きながら途切れ途切れに聞いてくる。
キモチイイ―――?
気持ちイイかどうかなんて全然わからない。
痛みと不快感のみに全身を支配されている今の私にとって、男のその言葉はひどくとんちんかんで脳天気なものに感じた。
私の真上で汗だくになってせっせと腰を振る金髪男が、なんだか少し気の毒になってしまう。
最後は結局、私が痛いのなんかお構いなしにガンガン中を突きまくった揚句、「もういい加減にして!」と私が怒鳴るのと同時にその男は果てた。
やるだけやって満足したのか、私の隣で大の字になってひっくりかえってしまった男の顔をチラリと見ると、自慢のたてがみがほとんど汗でしおれて、出会った時の印象よりずいぶん貧相に見えた。
「初めての男は忘れられない」なんて友達は言ってたけど、この男の顔は明日にでも忘れてしまう自信があるな―――と思った。
それは単に私が今日のことを「すぐにでも忘れたい」と思っているからかもしれないけれど―――。
「メアド教えてよ。また会おうぜ」
何を勘違いしたのか、男が馴れ馴れしく私の肩に手を回しながらまとわり付いてきた。
そのニヤついた顔はライオンというよりむしろハイエナを連想させる。
突然なんともいえない喪失感が込み上げてきた。
とにかく一刻も早く家に帰って一人になりたかった。
「―――私、帰る」
「―――は?」
呆気にとられている男を尻目にギシギシきしむ身体を無理矢理起こすと、尻の下にあらかじめ敷いておいたバスタオルの上に、パタパタと生暖かい鮮血が滴り落ちた。
そのハッとするような赤さに胸がズキリと痛む。
ヤマト―――。
ハイエナに喰われて私は死んだの。
アンタに「抱かれる資格」を手に入れるために――――。