SEXの条件・学級委員長 川崎静奈 @-4
「バージンは好きな人に捧げたい」
普通の女の子ならみんなそう思うのだろう。
でも私は……そうは思わない。
もしも私がそんなことを言ったら、アイツはきっと困るに決まってる。
それどころか、もう二度と口をきいてもらえなくなるかもしれない。
私はアイツにとって多分、男女関係を意識しないでつきあえる貴重な「女友達」だから―――。
『俺……こういう男やし、自分が思てるような付き合い方はできへんで。―――せやから、もっとええ男探し』
アイツがそう言って何人もの女の子の告白を断るところを私はいつもすぐ近くで見てきた。
『――俺みたいなんとマジで付きおうたら、しんどいだけやで』
それがアイツの口癖。
だからアイツの周りにいることを許されるのは、ミーハーで軽薄なフラミンゴみたいな女の子たち。
セックスしても後腐れのない女の子だけが、彼と親密になることが出来る。
それはアイツが不真面目だからじゃなくて、一途で純情なタイプの女の子を傷つけたくないという優しさの表れなのだということを私は知っている。
――スポーツ万能、成績優秀な学園の人気者。
みんなからはなんでも出来るスーパーマンだと思われているけれど、本当のアイツは――ヤマトは――そういう不器用なヤツなのだ。
男がゆっくりと腰を前後に揺すり始めた。
新たな激痛が走り、身体がギシギシと嫌な音を立てる。
「……っ…あっ…やあっ……」
突き入れられる度に、自分の中の大切なものがぐちゃぐちゃに壊されていくようで、胸が苦しくなった。
一体何回くらい出し入れしたら終わるんだろう―――。
私は唇を噛み締めて、この「処女喪失の儀式」が一刻も早く終わることを切望していた。
ロマンチックな思い出なんかいらない。
今の私は、とにかく処女さえ捨てられればそれでいい。
ライオンに喰われて―――私はフラミンゴに生まれかわるのだ。