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夏の夜のお話・百年恋詩
【その他 官能小説】

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夏の夜のお話・姿見-1

鏡の中の私…
美しいけど笑わない。

いつしか鏡に向かって笑わなくなった。


高校生の頃…
女子校の数学の女教師が誰でも美人になれる方法という話を授業の合間にした事があった。


毎日15分間鏡を眺める事。

そして私は美しいと呪文をかける。


ただ、それだけの話…


今みたいにお化粧をするわけでもなく、肌の手入れするわけでもなく、ただ毎日鏡を眺めて私は美人だと唱える。


私はそんな事をいつまでも本気でしているほど、冴えない女だった。


男に振り向かれる女の子を羨んだ。

男を連れて歩いたり…
優しくされたり、時には気を惹こうとからかわれたりセックスしたり…


私はいつしか次第に一番いい顔を見つけだし、ずっと顔を少し下に向けて微笑んでいた。

こんな私をかわいいと言ってくれた男もいた。

そして少しずつ、得体の知れない自信をつけて行った。


その得体の知れない自信はいつしか鏡の中で私を笑わなくしたのだ。

本当の顔に戻るのが怖い。

… … … …

ラブホテルのバスルーム…


和也はベッドに行く前に私を背中から抱き寄せてバスルームの仕切りに貼り付けてある大きな鏡の前に立つ。

[ 綺麗だよ… ]


鏡の中で太い腕に抱き寄せられた私は自分を正視できないでいた。


首筋に当てられた唇に深く息づきながら、背中の和也に体を反らせてしまう。

私をしっかりと捕まえながらもう片方の腕は乳房をそっと揉む…


甘い刺激…


立っている脚がもどかしく、和也の体に背中を預けてしまう。


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