Wait For You〜Y.Side Part2〜-2
夏稀の仕事先の先輩で大親友。
栗色の緩い肩までのパーマが印象的な人で夏稀の背中をいつも優しく見守り、そして押してくれる本当にいい人。
加々美さんの下年齢については、口外したら後々恐ろしいことになるので、ここでは伏せておきます。…ハイ。
それにしたって…
『か、加々美さん耳が…』
僕は携帯を耳から遠ざける。
そんな僕にごめんごめんと謝る加々美さん。
『…それよりあんた、別れたって本当なの…?』
濁さず遠回しにせず、尋ねてくる加々美さんに僕は“彼女らしさ“を感じる。
でも…。
別れた?
一方的にだけどそうなるのだろうか?
いや、現に彼女、夏稀は僕の横にはいないんだから僕達は別れたのだろう。
『うん…多分』
『…多分?ふぅん…そう…本当だったの…』
意味深な加々美さんの言動。
気まずいのか受話器越しの声が小さくなった。
『どうゆう意味です?夏稀…なんか加々美さんに言ってたんですか?』
『ぇ…いや、別れたとしか聞いてないし…言ってたとかじゃないけど…』
ゴニョゴニョと、余計に小さくなる加々美さんの声。
『なにか…聞いていたら教えて下さい!!』
『え…何?同意で別れたんじゃないの?』
つい大声を荒げる僕に少し驚いた口調で加々美さんは言った。
『違いますよ…実は…』
僕は昨日の夜に起こった突然の出来事を加々美さんに教えた。
勿論、前兆みたいなものもなかったこと、喧嘩もしていないこと、朝まではいつも通りの彼女だったことも全てだ。
『そうだったの…。じゃあ…なんで夏稀…』
一通り僕の話を聞くと加々美さんはふーむ。と鼻をならして最近の夏稀の様子に思考を巡らせている。
『夏稀に逢ったんでよね!?どんな様子でした?!』
『いや、だからさっきも言ったけど…私は直接あの子から全ての理由を聞いたわけじゃないし、結果しか聞いてないんだから…。』
僕の言動に加々美さんは落ち着きなさいよ、と付け足し溜息をついた。
『何か分かったら出来る範囲で力になるから…あんたはもう少し落ち着いて、よく考えて。もしかしたら何かしたのかもしれないし…まぁ…あのコが別れを選ぶ程の理由だから…考え難いとは思うケド。』
加々美さんは冷静に言う。
そうなのだ。
夏稀は安易に別れ話を切り出す人間じゃない。
それは今まで付き合ってきた僕が1番よく分かっていたつもりで…。