距離〜佐山と剛〜-3
「Nujabesの“modal soul”だよ!ジャズっぽい聴きやすいのがいいってリクエストしたら貸してくれたんだからー」
「そうでしたっけ…」
「そうだよーっ。もう一年以上前のことだから忘れててもしょうがないけどさ…」
「いや、ごめんごめーん。ほら俺、忘れっぽいから」
「……私は剛くんとのこと全部覚えてるのに…」
「えっ?」
「いっ…いや、何でもないよ…ははは」
「あ、そろそろ曲終わるなー。佐山さん、繋いでみる?」
「え、繋ぐって?」
「今流してる曲に、ノンストップで他の曲を繋いでいくの」
「えーっ、出来ないよ…」
「まぁまぁ、教えるから。えっとね…じゃぁこの曲にしようかな」
「それをどうするの?」
「えっとまずね…」
その様子をひっそり眺める順平と義明。
「なにやら楽しそうで」
「だなー。順の狙い通りだろ?」
「あぁ、まあね」
「しかし剛がフラれるとはなぁ」
「あぁ、それはほんと驚いたわ」
「だって相当剛にゾッコンだったんじゃねーの?」
「ゾッコン過ぎたが故、だろうなー」
「俺には全く理解出来ねぇよ…」
「まぁよっちゃんの脳ミソじゃあなー」
「今のは聞かなかったことにしてやる…」
「しかしこれで剛もフリーになったわけだ」
「でもすぐに幸ちゃんに行くかー?剛だって多少は傷付いたんじゃねーの?」
「そうだけどさ、でもあのまんま千華ちゃんと付き合い続けるかは良かったと思うけど。理由はどうあれ千華ちゃんは立派に二股かけたわけだしよ。そうなりゃもうどっちにしろ長続きしねーと思うわ」
「まぁなー」
「俺らだって剛と幸ちゃんの為にコソコソ頑張ってるわけだしよ、どうせならやっぱ二人にくっついてほしいし」
「まぁねー。脇役は大変だよ、まったく」
「脇役がいてこそ輝くのが主役だろ?世の中主役だけじゃ成り立たねんだよ」
「なにかっこいいこと言ってんのさ…。順平くんキモーい」