距離〜順平と剛〜-1
文化祭ももうすぐ。
準備の為にどのクラスも教室を作り替えたり器材や什器を搬入したり、学校中が慌ただしい中。
搬入用のトラックとかも来てるし、中庭や校庭、校門の飾り付けの作業もあるから、学校全体が工事されているかのよう。
その合間を縫って屋上で休憩する二人。
「相変わらず重いな、剛のタンテとか…」
「そりゃそうだろ」
「正直疲れましたよ…」
「今年もDJブース作るって言い出したの誰だよ」
「美沙ちゃん…」
「あと?」
「…俺です…」
「分かってんじゃねーか。しかもお前自分から手伝うって言ったよな?」
「はい…」
「なら文句言うなよ。去年も同じこと言ってたよ、きみ」
「はい…」
「持って帰んのも手伝えよ」
「えーっ!?」
「当たり前だろ。んなこと言うなら俺セッティングしないわよ?順にミキサーとかのケーブル繋げるっけ?」
「…ごめんなさい…」
「分かればよろしーっ。まぁでも教室作りももう一息だな」
「今頃進とかよっちゃん達が調理用の器材と食材入れてんだろ。それ終わったら細かい配置調整したり、あとDJブース作って、あ、あと壁とか窓の装飾もあんじゃん…。まだまだ終わらねーよー…」
「でも明日も準備で一日使えるし、その辺の飾り付けとかは美沙っちとか女の子の出番だろ」
「だなー。………で、どうだった?」
「何が?」
「いや、この前の、あれだよ…あの…千華ちゃんの…」
「あぁ、あれね。あの時一緒にいたの、千華と同じ3組の真橋だって」
「真橋……あ、サッカー部のチビ?」
「そうそう、そいつ」
「で、そいつがなんで?」
「誘ったんだとさー、千華を。誰も見てねーと思ってたらしーよー」
「……ばっちり見ちゃったじゃん、俺ら」
「うん。しかもその後日に学校で千華にコクったらしいぜー」