距離〜順平と剛〜-2
「えっ、マジ!?」
「うん。進とよっちゃんがたまたま現場を見ちゃったらしいんだわ」
「うわーっ…」
「剛くんと付き合ってるの知ってっけど付き合ってほしい、的な」
「あれ、結構前に剛も一年の後輩の子にそんなこと言われなかったっけ?」
「えっ、知ってんの?」
「幸ちゃんから聞いたよ」
「………。でも俺はちゃんと断ったのだー」
「俺はって……え、千華ちゃんは…?」
「それが、断らなかったんだなー」
「はー!?何考えてんだよ!」
「まぁ言うなれば二股ですわな」
「おいおいおい…。ってそれは千華ちゃん本人から聞いたのか?」
「あぁ、うん。もうボロッボロ泣きながらさ、めちゃくちゃ謝られたし」
「そらそうだろーよ…。で、真橋ボコした?」
「やるかボケッ!」
「なんでよ!日和ったのかお前!」
「そういうんじゃなくてよ……。なんかそれ聞いてても千華を責められなくてよ…真橋のこともさ…」
「はぁ?なんで?」
「………俺も人のこと言えねーんじゃねーかってさ…」
「剛…」
「ほら、ちょっと前に話したじゃん、佐山さんのこと…」
「…………」
「結局俺も程度の差こそあれ、千華に同じことしてたんじゃねーかと、思うのよ」
「や、でも剛はさ…」
「まぁ聞け。でさ、もっと千華から話聞いたんだわ。そしたらさ、俺最近本来の部活以外にも文化祭用のルーティン考えたりクラスの出し物の話し合いしたり、そこそこ忙しかったじゃん?」
「あぁ…」
「でさ、それで千華と一緒にいる時間がめちゃくちゃ減ってたんだわ。それは順も同じだろうけど」
「あぁ、俺も彼女に文句言われたわ…」
「だろ?でも千華は順の彼女とは違くてさ、俺に文句言えなかったんだと」
「………」
「俺に“会いたい”とか“寂しい”とか、我が儘言い過ぎたら嫌われると思ったらしいんだわ」
「………」
「ずっとそうだったらしくてよ、あんまり素の自分が出せなかったんだと。十分酷かったけどあれでもヤキモチとかも結構抑えてたらしくて。そんでまぁ疲れて寂しかった所に、あのチビ助が出て来たと」