距離〜千華からの視点 2 …時々進と義明〜-3
ごめん…。
ごめんね…ごめんね…剛…。
私、裏切っちゃった…。
あれだけ剛のこと好きだって言ってるのに…。
剛の気持ちが見えないから…。
ごめん…。
その廊下の、柱の陰で…
「おーい、よっちゃん……」
「なんだい、進くん…」
「バカ、声デカイって…。しかし大変なもん見ちまったな…」
「あぁ……」
「今の男、サッカー部の真橋だよな…?」
「あぁ……」
「手、繋いでたよな…?」
「あぁ……」
「コクってたよな…?」
「あぁ……」
「付き合い始めちゃったのかね…?」
「さぁ……」
「これ…剛に言うべき…?」
「さぁ……」
「てか千華ちゃん、二股…?」
「さぁ…。つかさっきからさ、俺に聞かれても分かんねーって…」
「いやだってさ、あれはさ…なんかあの…衝撃の…」
「言いたい事は分かるけど…」
「でも一緒に帰っていったってことは…」
「そういうことになるのでしょうか…」
「おいおいどうすんだよ…」
「知らねーよ…」
「とりあえず剛には言っとくか…」
「あぁ…あぁ…そうだな…」