織露府(オルロフ)家の花嫁-6
「あ…、痛いっ…」
千夏が小さな叫び声をあげるのが聞こえた。弘幸はまた駆け寄ろうとして、章子に腕を引っ張られる。
さっき田所が処女検査の結果を宣言した時、弘幸は正直ホッとした。いや、むしろ、こういうとんでもない状況にもかかわらず、誇らしい思いが胸にわき上がってきた。
(当然だろう。そんなふしだらな娘に育てちゃあいないさ。)
さっきはそう胸を反らせたが、嫁ぎ先の男達に交替で身体を弄られる様子を見ていると、彼女が処女だということで、かえって胸が詰まる程の哀しさを覚えた。
「あぁん…、んふぅ…」
織露府家の男達は次々に花嫁の女陰を確かめていく。再び千夏の意識は朦朧としてきた。だんだん自分が自分でなくなる感じがしてきて、両親に見られていることも忘れ、せり上がってくる妖しい感覚に身を委ねてしまう。
「はあぁっ!い…、あ…、はうぅ…」
10人近い男達に性器を刺激され続け、千夏はひっきりなしに喘ぎ、やがて自らその感覚を求めるように、遠慮がちに腰を動かし始めた。
「感度の良い娘だな。」
「ベッドがビショビショだ。」
「おやおや、腰まで振ってるぞ。」
織露府家の男達が口々にそう言うのを聞いて、弘幸は屈辱で顔を真っ赤にし、ブルブル震える。
「あぁぁ…、イヤぁ…ダメぇ…」
喘ぎ声のトーンが変わってきた。そろそろ絶頂を迎える合図だ。旋太郎は千夏のクリトリスを責め立てる。
「よしよし、そろそろイキそうだね。イクところを、みなさんに見ていただきなさい。」
どこか遠くから旋太郎の声が聞こえるが、言われていることがよく理解できない。千夏はただ次第に高まってくる性感の波に翻弄され、はあはあと息を荒くして、腰を振っていた。
「あっ、あっ、あっ、ああぁっ…」
突き上げてくる快感にビクンビクンと全身を痙攣させ、ほとんど反射的に絶叫した瞬間、千夏は目の前が真っ白になるのを感じた。生まれて初めて経験する絶頂感だった。
「これで、花嫁は妻としての役割を十分果たせることが確認されました。それでは、ご両親から新婦に激励のお声をかけていただきたく存じます。」
田所の言葉で、仲人に腕を引かれて弘幸と章子が千夏の側に寄っていく。夢遊病者のようなフラフラした足取りだった。
ベッドにぐったりと横たわる千夏の上気した裸体は、すっかり大人の身体になっており、美しくそして艶めかしかった。男達に愛撫された名残りで呼吸が乱れ、剥き出しのままの胸が激しく上下している。開いたままの股間は彼女が分泌した体液でぐっしょりと濡れていた。弘幸の頭の中で、いつの間にか大人になってしまった娘の、成長の一コマ一コマがフラッシュバックする。
両親がベッドの側に来たのを感じた千夏は、慌てて、両手で身体を抱きかかえるようにして丸くし、顔をそむけた。
「…千夏…」
弘幸が声をかけると、細い肩がピクッと震えた。
「…か、帰ろうか…」
やっとの思いで口にした言葉に、娘は無言のまま首を横に振った。それが彼女の決断だった。弘幸は小さくため息をついた。
「…だ、大事にして…、いただきなさい…」
すっかり女らしくなった背中の曲線を見つめながら、織露府家の男達にも聞こえるように、万感の思いを込めて弘幸はそう言うと、天井を仰いで唇を噛みしめた。
「千夏ちゃん…」
そう言ったきり後は言葉にならず、章子はすすり泣いていた。
千夏の目からもとめどなく涙が溢れ出た。父と母こそ、間違いなく、彼女にとってこの場に最も居てほしくない人であった。
新郎新婦の先輩や同級生たちは、尋常ならぬ処女検査が目の前で展開されるのを、ただ呆然と眺めていた。とりわけ、礼服のズボンの前を膨らませて見入っている男たちの心情は複雑なものがあった。
千夏が入学してきた日のことは、それぞれが鮮烈に覚えていた。極端に男子の比率が高い学部のため、ただでさえ女子学生はみんなからちやほやされる傾向があるのに、その年に入って来たのは、とびっきりの美少女だったのだから…。
ネイビーブルーのスーツを清楚に着こなした彼女が学部の新入生歓迎行事に参加した時には、学生はもちろんのこと、教授たちですら完全に舞い上がっていたものだ。
それ以降、誰が彼女を射止めるかということが学部の重大な関心事となった。多少なりとも自信のある男はいろいろとアタックし、そうでない者は「高嶺の花」とあきらめながらも、絶え間なく憧れの視線を投げていた。
その千夏が、大勢の人が見守る中で全裸になって陰部を露わにし、そのうえ、嫁ぎ先の男たちにその部分を弄られてアクメに達する姿を見せたのだ。