距離〜美沙と順平と剛 2〜-1
放課後、殆どの学生は帰路について学校にはほんの少しの学生と先生しか残っていない時間。
いつものように、屋上で。
「んー…で?結局俺がやるわけ?」
「だって剛しか持ってないしよ、しょーがねーだろ」
「そもそも店を変えれば早いじゃん。去年と殆ど同じって、芸が無いっすよ?」
「でも正確には去年よりもっとクラブっぽいぞー」
「そうそう」
「えーっ…だってタンテとかミキサーとか重いんだぜ?レコードだって枚数増えれば重いしよ…。去年だってどんだけ大変だったか…」
「だからそれは俺も手伝うからさー。な?いいだろ?」
「なーいいだろーぅ?」
「…………しょうがない」
「さっすが剛!!」
「ごーぅ!!」
「あーはいはいはいはい。で選曲とかは?とりあえずクラスのリーダーは美沙っちなんだから決めてくれよー」
「……なんでもぃぃ…」
「はー!?なんだそれ…」
「っていうか上手く言葉が出てこないしー、てか寧ろそれは剛くんが考えた方がいいと思うぞー」
「確かに…。この学校にこいつに勝る音バカはいねーからな」
「…………分かった。じゃあ考えとくよ。どーすっかなー……ミドルか…西海岸アングラか…アブストか…それとも…」
「あーでさ美沙ちゃん、もう一個話って?」
「あ、そうだった。あのさー、ダンスサークル今年も出るのかー?」
「あぁ、そのつもりだけど。今年は後輩の一年にもショーケースの時間あるし、去年よりもロングセットでね」
「ほーぅ。そこで相談があるんだけども」
「ん?」
「今年は私と幸も一緒に出たいなーなんて」
「マジっ?いいじゃんやろうよ!どうせ賢も呼ぶしよ、皆でなぁ!なぁ?剛?」
「……Anticonじゃマニアック過ぎるか……。まぁ普通にゆったり踊るだけならMIC LIFEとかのポップなジャズヒップホップかな……いやーでも…」
「剛くんが他の世界にいるよ…」
「あ、まぁこいつはいいや。とにかくそれ面白いじゃん。出ましょうか」
「私ら部外者だけどいいのかー?」
「おぅ、かまわんよっ!」
「やったのだー!」
「でもさ、美沙ちゃんは大丈夫だろうけど幸ちゃん踊れるっけ?」
「それはさ…この音楽フェチが教えれば一石二鳥ではないかー?」
「確かにっ」
「音楽フェチって俺のこと?」
「変なとこだけちゃんと聞きやがって…。あーあのさ、今年文化祭のダンスイベント、幸ちゃんと美沙ちゃんも出ることになったからさ」
「あーそう。いいじゃん」