距離〜美沙と順平と剛 2〜-2
「でさ、幸ちゃんてダンス出来ないからさ、剛教えてあげて」
「えー。ヤダー」
「え、なんで?」
「めんどくせー…」
「剛くん、あの幸が踊るって言ってんだから、助けてあげてくだされーっ」
「つかなんで俺!?順平だっていいじゃん!てか美沙ちゃんと一緒に賢に教わればいいじゃん!」
「俺部長なんで、生徒会と交渉とか色々忙しいんでね」
「賢に教えてもらうのは私の特権なのだー」
「……俺だってDJのセットリスト考えたりさ、そもそもダンスのルーティン考えるのも俺だし…」
「ま、幸ちゃんのことは任せたから」
「頼んだぞ剛くーん」
「つか何故本人から頼まない?」
「それは…恥ずかしいからなのだー」
「意味分からんっ」
「あのねー、こういうのは男子からサラッと手を取って教えてあげた方がね、女子は喜ぶのよー?」
「そうなのか?順、どうなの?」
「俺に振るな!」
「けっ。じゃぁいいよ。俺が教えればいいんだろー」
「流石剛!」
「ごーう!」
「…………」
「っていうかほんとは剛だって幸ちゃんと一緒に踊りたいんだろ?」
「なっ……。おちょくんじゃねーよ!」
「照れちゃってまぁ?。素直じゃないねぇ。ねえ、美沙ちゃん」
「…………」
「美沙ちゃん?」
「おーい美沙っちー?」
「ねぇ…剛くん…あれ…あの…校門のとこ…」
「あー?…………あ?」
「…おい剛…あれ…千華ちゃんの隣のやつ…誰だよ…」
「あれ…剛くんじゃないよね?」
「いや、俺はここですけど…」
「だよな…。暗くてよく見えないけど手繋いでねーか…?」
「あっ…たしかにー…」
「確かに…」
「あっ、帰ってったぞおい…。剛、今のあいつ誰だよ…」
「いや、知らねー…」
「…何やら波乱の予感だねぇ…」