心霊ファイル…怨み2-2
「ばっかじゃないの?」
喫茶店で結菜は、杏里に対して軽蔑な眼差しを向ける。
私と杏里、結菜は時々、学校近くの喫茶店『パル』でくつろぐ事もあるのだ。
私は今までの事を結菜に話し聞かせていた。
結菜も杏里の活躍をよく理解している。
でも、柳沢家での態度に関しては理解出来ないみたいである。
結菜って、短気だし。
「杏里だって、色々と考えていると思うよ」
私は杏里をかばってやるけど、結菜は納得しない。
「水ぶっかけられたのに…何であのまま、黙って帰っちゃたのよ?
フツー、文句を言うもんだよ」
「…」
杏里は憮然とした表情のまま何も答えない。
「私だったらサァ…
その女なんか、コテンパンに張り倒しちゃう」
結菜だったらね。
杏里は言う。
「勿論私だって、結菜と同じような事をするよ」
へぇー、杏里もそう思ってたんだァ。
「だったら」
「こっちも手出したら、あの仁美さんてっ人は余計に興奮すると思ったのよ。そうなれば仁美さん、何をしでかすか分からないし。母親に会うのが余計、難しくなるかもしれないと判断したの」
「仁美さん、何だか異常だったもんネェ」と私。
「なるほどォ。っで?
アンタたち、これからどうするの?」
「うーん…、どうするの杏里?」
杏里の方に見やる私。
杏里はコーヒーをすすりながら、ジッと一点を見つめていた。
それから又、幾日が過ぎた。
あれから私たち、一度も柳沢家には足を運んでいなかった。
当然、ルリ子さんは今はどうなっているのか分からないし…
家庭の状況なんて知らない。
香織と名乗る霊も諦めたのかな?
今では訴え出て来る事はなくなった。
私はあの家族の事は考えなくなったし…
杏里は全く口にしなくなった。
時々、結菜が口にする事がある。
「今頃どうしてるんだろうね?」って。