心霊ファイル…怨み-1
私の名前は椎葉彩愛
(しいばあやめ)。
聖友大学に通う20歳の女子大生。
私には色々な学生友達がいる。
その中で一番変わった友達と言えば、吉岡杏里ちゃんかな?
身長167センチのモデルのような体型…
黒髪のサラサラとしたロングへヤー…
目鼻の整った穏やかな表情…
今すぐにでも、ミスコンに出られそうなキレイなコだけど…
杏里は、タダの美しい若い女性ではない。
杏里は不思議な霊力を持っている。
普段、霊が見えるワケとかじゃないけど…
イザとなったら、物凄いヒーリングパワーを発するのだ。
今まで、杏里のおかげで幾つもの心霊事件が解決出来た事か。
私はそれらを全てパソコンに書き込んで、心霊ファイルとしてまとめている。
霊能女子大生・吉岡杏里の活躍を1つ残らず記録しているのだ。
杏里が関わった心霊事件はどれも、小規模で大した事ない事件ばかり。
でも1つだけ、今までとは一味違う厄介な事件に杏里は関わっていた。
それは或る、一組の家族を襲った心霊的不幸現象である。
ここ数日間…
私はヒマを見て学生仲間の秋本結菜や杏里と一緒に、都内の病院に見舞いに訪れていた。
実は、同じ大学の男子学生で結菜の恋人である森田拓也が、バイク事故による大ケガで入院しているのだ。
足を骨折しての全治約2ヶ月ぐらいのケガだから、森田にとってはとんだ災難だろう。
でもまあ、命助かっただけでも有り難いかも。
杏里は時間を作っては病院を訪れ、ヒーリングを施している。
杏里の霊術は患部に手をかざす…ハンドパワーってヤツが主で、光を患部に当てるポピュラーなものかな?
超高次元の霊的エネルギーが患部を霊細胞から癒やすらしいけど…
詳しいメカニズムは謎だって。
このパワーを杏里は施してくれるから…
一般的な治療やリハビリも事欠かさず、キチンと並行して行えば…
もしかしたら、回復は早まるかもしれない。