心霊ファイル…怨み-2
夕方遅く…
「はーい、今日はこれでおしまーい」と、杏里は施しを止めた。
森田は包帯巻いた左足を少し動かしてみた。
「調子、どうよ?」
結菜が話しかけた。
「痛みはそんなにねーし、足はチト軽くなった感じかな?」
そう言えば森田…
救急車で運ばれて来た時は死にそうな顔をしていたっけ。
今では落ち着いた表情をしている。
杏里は大きく背伸び。
「さてと、私たちももう帰るわよ。時間遅いし」
杏里の言葉を聞いて、私は立ち上がった。
時間は夜の7時半。
結菜はまだ少し残るみたいで、私と杏里だけが帰宅の途に着いた。
ふーん。
結菜はまだ、森田の傍にいたいんだよね。
2人だけで、ゆっくりと話し出来るんだし。
病棟を出て、中庭を歩いていた時である。
この時間帯…
中庭にはノンビリとくつろぐ患者の姿がチラホラいた。
私が注目したのが、杖を付きながら芝生を歩く入院着姿の1人の女性である。
年齢は50歳代かな?
随分と体は痩せ細っていて、やつれた表情。
まるで、ミイラが歩いているみたい。
「どうしたの彩愛?
うかない顔して」
立ち止まって一点見つめる私に杏里が声をかけて来た。
「あの人」
「え?」
私が指差した方向に杏里は視線を向けた。
「ちょっと、気になるんだよね」
「…」
私が話しを終わらないうちに杏里、その女性の所へ歩いて行った。
顔見知りなのか?
何か話しかけ始める。
女性は足を止めて杏里に振り向いたけれど突然、フラリと倒れてしまった。