距離〜美沙からの視点〜-3
「体育館でやった軽音部のライブもしょぼいしよー。あんなもんの何が良いのか…」
「確かにあれは酷かったかも…」
「でもダンスサークルのパフォーマンスは良かったよなー。他校のくせに賢も参加してたし」
「あれは良かったよねー。男子も女子も皆盛り上がってたし」
「なー。今年もやるのかなー?」
「やるんじゃない?去年あれだけ好評だったし、特に女の子のファンが熱望するでしょ」
「だよなー。あ、幸よ。私らも今年そのパフォーマンスに出ないか?」
「えー!?出れるわけないじゃない…」
「そうか?やるならどうせまた賢も出るだろうし、他校の人間が出れるなら部外の人間が出ても問題無いと思うけど」
「や、そうかもしれないけど…」
「じゃ決まりな。明日順平くんに話してみるよー」
「えっ…ちょっと美沙…」
「おーぃ田中ー!佐山ー!お話が過ぎるぞー!」
「え…あっ、すいません…」
「すんませーん」
「しかもあなたたち、パイが焦げてるわよ…。ちゃんと見てなきゃダメでしょっ」
「え?あっ!美沙、焦げてるよ!」
「あーほんとだー」
「ちょっと早く手伝ってよ…」
「うぃー」
「もうっ…。で、そのショーに出るってなったら美沙はまた賢くんに教わるんでしょ?」
「あたぼうよっ。彼氏だしなっ」
「美沙はそうやってしっかり練習出来るから良いけど、素人以下の私なんて恥かくだけだよ…」
幸よ、そう来ると思ったぞ。
その辺はバッチリ抜かり無し。
「剛くんに教わればいいじゃないか」
「え?でもさー…」
「今更なんなのだ。たまにちょいちょい教えて貰ってるじゃんよー」
「でもあれはお遊び程度だし…」
「その遊びを本気でやるだけのことだー」
「でも…」
「決まりなっ。明日剛くんに話してみるよ。もう交渉人は忙しいわー」