Lesson xxx U B-2
「どうして…?他の男に汚された女は抱けない…?」
自嘲気味な彩の指をそっと腕から外し正面にかがみ込んだ。
「そんなんじゃない。俺が今でも彩を好きならそんな事関係なく抱いてるさ」
「じゃあ今は…?」
瞬きすれば今にも落ちそうな涙を浮かべる彩。
「俺には神崎がいる。あいつには嘘ついたり、これ以上哀しむような事はしたくないんだ」
「征也、変わったね…。そんなにあの子が大事なんだ…」
膝で握り締めている彩の拳を涙が濡らしていく。
「私、征也と別れたのずっと後悔してた…!何であの時頷いたんだろうって。征也以上に好きになれる人もいなくて…。今回講師を引き受けたのも征也がいるって知ってたからなのに!」
堰を切ったように吐き出す彩の言葉を聞いても心に何も響かない。
俺の中では彩との事はとっくに終わってるのを実感した。
「私、征也に会いたくて…やり直したかったのに…それなのにこんな目に合って…!ねぇ!征也!私のそばにいてよ!」
「それは出来ない。俺の中では彩との事は終わってる」
縋るような目をして叫ぶ彩にはどれだけ冷たく残酷に聞こえただろう。
そうとわかっていても告げなければいけないのには胸が痛んだ。
弱ってる彩に同情はしてる。
でもだからといって彩を受け入れるのは彩と神崎の両方を傷つけるだろう。
それなら俺は神崎を取る。
今、彩をさらに傷つけたとしても。
「ひ…どい…!」
酷い事を言ってるのは自覚してる。
逆上した彩に刺されても文句も言えない。
弱々しく泣いていた彩がキッと顔を上げるなり俺を床に押し倒した。
「彩!?」
「征也は私のなんだから!私の!」
両頬を掴まれ唇を奪われた。
神崎とのキスだとそれだけで気持ちが満たされ昂揚するのに彩のキスは何も感じない。
無理強いされて妙に冷めてる自分が可笑しかった。
夢中で俺の唇を貪りワイシャツのボタンを外す。
俺は何の抵抗もせずされるがままになっていた。
彩を止めるのは簡単だ。
だけど止めたって彩の気持ちは晴れないだろう。
それなら気の済むようにすればいいと思った。
はだけた俺の胸をまさぐる指と唇はだんだんと下に降りていく。
彩の指がズボンのベルトを外して這入ってくる。
頑張る彩には悪いがほとんど反応しなかった自分に思わず笑い声が漏れた。