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やわらかい光の中で
【大人 恋愛小説】

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やわらかい光の中で-5


 暫く世間話をして、彼は席を後にした。
 近いうちにまた裕美の会社に打ち合わせに来るだろうから、その時、飲みにでも行こうと口約束をして、2人は別れた。




 何末の慌しさに感(カマ)けていると、年末年始休暇は、あっという間に終わってしまった。そして今度は、年明けの忙しさに打ちひしがれる事となった。

 そうして1月が過ぎ去った2月のある日、辻元から突然連絡が来た。

 今日、彼女の会社に来るから、仕事の後、飲みにでも行かないかという誘いだった。
 彼女はそれを快く承諾し、ただの社交辞令だと思っていた約束を辻元が律儀に実行した事に感心した。

 彼女は彼のそういう律儀なところに好感を持っていた。


 夕方に突然入ったミーティングが長引いたため、少し遅れて辻元の指定した店に着いた。
 店内を見回していたら、小さく手を上げる彼の姿が目に留まった。
 席につくと、見慣れない男性が同席していて、辻元が自分の大学の先輩だと裕美に紹介した。

 それが、内藤慎治との初めての出会いだった。

 慎治の焼けた肌の色を見て、すぐにサーフィンをしている人だとわかった。そしてその色の濃さから察するに、相当海に通いつめていると感じた。



 先日辻元に、最近サーフィンにハマっていると話したことを思い出した。
 裕美は元来色白なのだが、夏は毎週のサーフィンで異常なほどに黒い。
 フルなど長袖のウェットを着ている時は、紫外線対策用のグローブもしているのだが、真夏の暑い時期は、ノースリーブのタッパーという上半身だけのウェットに、海パンという出で立ちで海に入る。
 1番暑い時期のわずか1ヵ月半程度しかその格好はしないのだが、それでも毎週海に行っていると異常に黒くなる。

 中学の頃、屋内競技のくせに、外でウォーミングアップをしてから体育館に入るという練習を毎日繰り返していたおかげで、白い肌が太陽に当たっても赤くなることなく、黒く綺麗に焼けるようになったのだ。気のせいかもしれないが、紫外線の吸収率は、上がったように思う。

 辻元は、昨夏の写真部飲みで会った時、異常に黒かった裕美を見覚えていたようで、先日会社で偶然に会った時、裕美の白い手を見て「あれ?色黒くなかった?」と唐突に聞いてきた。それで事のあらましを説明したのだ。

 裕美がサーフィンを始めて2年になる。
 始めた年から、ほぼ毎週海に通っていて、真冬でも月に1?2回は行っていた。
 久しぶりにハマった彼女の趣味の1つだ。



 裕美と慎治はサーフィンという共通の趣味を持っていたこともあり、意気投合して、その日に連絡先を交換した。そしてその次の週には、2人で海に行くことになった。


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