紙ヒコーキ-8
「ちょっ…。なんで泣いてんだよ…?」
私の涙は、止まるコトを知らない。泣き止もうと思っても、どんどん溢れてくる。
「…ひっ…なんで…ひっくっ…なんで彼女がいるのに優しくしたり…抱き締めたりするのぉ…?」
「はぁ!?彼女?誰が!?」
「ひっ…裕介が…。こないだ女の子と一緒に帰ってたじゃんかぁ…。」
彼はしばらく何かを考えている様子で、そして口を開いた。
「……?もしかして…姉貴のコト…?」
「……?…へ!?お姉ちゃん!?」
あまりに驚きに、一瞬で泣き止んでしまった。
「こないだ…姉貴に買い物付き合わされたときじゃないかな?それ。ってか俺彼女居ねーし…」
私は、自分の勘違いがすごく恥ずかしくなって、顔を真っ赤にして、俯いた。
「…廣瀬。もしかして俺に彼女が出来たと思って泣いてたの?」
彼が、ニヤニヤしながら、私をからかうかの様に言った。
私は恥ずかしくて、考えてることと反対のことを言ってしまう。
「ちっ…違うもん!お姉ちゃんがいるなんて聞いてなかったし!」
「嘘つくなよ〜♪俺は廣瀬が好きだよ?」
あまりにさらっと言うので、聞き流してしまいそうになった。
「…へ?…嘘だぁ。」
「俺は廣瀬と違って嘘つかないよ♪」
そういって、さっきよりも抱き締めた腕に力を込める。
真っ赤になった私の顔を見ながら、彼が尋ねる。
「廣瀬は、俺のことどう思ってんの?」
私は、意を決して彼に言った。
「…好き」
そう言ったあと、彼が地面にぺたりと座り込んだ。
「…はぁーっ。よかった〜!…廣瀬が急に俺のこと避け出すから俺嫌われたのかと思ったじゃん」
「ゴメン…」
「ん〜。じゃあこれで許してやるよ♪」
…瞬間、唇に柔らかい感触が。