紙ヒコーキ-7
次の授業が始まってからも、私は優花に言われたコトをずっと考えていた。
やっぱり、彼に話し掛けられることのないように…寝ているフリをして顔を伏せて。
ふと、私の大好きな声。
「廣瀬…?」
私は寝ているフリを続ける。彼は気付いてるかもしれないけど。
「…なんなんだよっ、ここ最近避けやがって。」
そう呟いた瞬間…。
「木村先生っ!」
「なんだ?樋浦。珍しく質問か?」
「金沢さんが起こしてるのに起きないんですけど。」
…えぇっ!?
一体どういうつもりよぉ〜!
「金沢〜…。」
私は木村の怒りのオーラを感じつつ、静かに顔を上げる。
「金沢も樋浦も懲りないなぁ。居残りまでしたのにまだ懲りてないのか!」
…ん?樋浦も?
彼の方を見ると彼の手には携帯電話が。
…もしかしてわざと!?
「お前ら放課後反省文書いてけよ。帰ったら今度こそ単位やんねぇからなっ!」
こうして、彼の思惑にはまってしまったかの様に、私と彼は放課後に居残りをすることになってしまった……。
放課後…。
私たちは、無言で反省文を書いていた。木村に渡された原稿用紙は、三枚ずつ。
…読書感想文じゃないんだからっ!こんなに書けないよぉ…。
すると、彼が突然立ち上がった。
私はビックリして、彼を見上げると…、目が合った。
瞬間……。
――ガタンッ
彼は私を引っ張って立ち上がらせて、気付けば私は彼の腕の中に囲まれていた。
彼の顔が近くて、避けていたことなど忘れて、ドキドキしてしまう。
「…なんで俺のことずっと避けてんの…?俺、何かした?」
ふと彼を見ると、とても哀しそうな眼をしていた。
…どうして?
どうして私なんかに構うの…?
彼女、いるくせに…。
気付いたら、私は涙を流していた。
彼は私が泣きだしたことに、動揺した様子を見せる。