紙ヒコーキ-6
次の日の放課後、もう作業はないけれど、何だか帰る気にはなれなくて、教室にひとり残っていた。
頬杖をついて窓の外を見ていると、見覚えのある人影があった。
(裕介だ…!)
窓から顔を出して声を掛けようとした時…。
彼の隣には見知らぬ女の子がいた。
「誰…?」
思わず声に出して呟いてしまった私の頬は、気付いたら涙で濡れていた。
あの日から…、一週間。
あの後私は、どうやって家に帰ったか覚えていない。
それくらい、彼に彼女が居たコトがショックだった。
彼と過ごした一週間があまりにも楽しすぎて、私は、自惚れてしまっていたのかもしれない。
「なぁ、廣瀬…」
「……あっ!優花。あのさ〜。」
「あっ、廣…!」
――またやってしまった。
あれから、私は無意識に彼を避けてしまう。
「…廣瀬。樋浦と何かあったの?放課後居残りが終わった位から避けてるよね?あたしでよければ聞くからさ、廣瀬がよければ話してよ。」
「…優花ぁ…。」
私は、彼と過ごした一週間にあったこと、彼が彼女らしき人物と一緒に下校していたことを、すべて優花に話した。
「…そっか。そんなコトがあったんだぁ。」
「うん…。」
「樋浦には直接聞いてみた?」
私は、無言でふるふると首を横に振る。
だって、もし彼の口から肯定の言葉を聞いてしまったら…。
それこそ、辛過ぎる。
「そっか…。でも聞いてみなきゃわからないコトもあると思うよ。ちゃんと樋浦と向き合ってみな?」
キーンコーン…――
優花は、私の頭を軽く撫でて、
「まぁ、次の授業の間にでもゆっくり考えてみな?」
と優しく言ってくれた。
ありがとう、優花…。