紙ヒコーキ-5
――――――
「でーきた♪」
「じゃあ飛ばそっか」
私は教室の窓を開けて、輝くオレンジ色をした夕陽を見ながら思わず、
「きれい…」
と呟いてしまっていた。
すると後ろから、私の腕の横を彼の手が通り過ぎて、気付いたら私は軽く後ろから抱き締められてる状態になっていて、思わず赤面してしまった。
「裕介…?」
「……!あ…。」
彼は、パッと抱き締めていた手をどける。
なぜだか、少し淋しい気がした。
「ごめん…。つい…」
私は恥ずかしさのあまり、何も言えなかった。
「……。」
「……。」
しばらくの沈黙。
先に静寂を破ったのは、彼だった。
「紙ヒコーキ飛ばそっか!」
「…あ。うん」
それからは、彼は何事もなかったかの様に話してきてくれた。
「廣瀬。願い事何書いたん?」
「内緒〜♪裕介は?」
「…俺も内緒」
「えー!教えてよ〜!」
「廣瀬が教えてくれないんだから俺も教えないって。ほら、せーので飛ばすぞ?」
「「せーのっ!」」
フワッ―――
二人で同時に飛ばした紙ヒコーキは、きれいな放物線を描いて沈みかけの太陽へと消えていった……。