距離〜順平からの視点〜-4
「剛が言いたいこと、分かるよ。でもさ、剛はあの時千華ちゃんと付き合う選択も、付き合わない選択も、あったわけだ。でも結果として付き合い始めて、今でも付き合ってる。それは剛の責任でもある。分かるよな?」
「…あぁ…」
「元々幸ちゃんと良い仲だったのは俺も分かるよ。だけどそれでも千華ちゃんと付き合ってんだからさ、好き同士になった順番はどうあれ剛はちゃんとけじめつけねーと。これも、分かるよな?」
「…うん…」
「つまりさ、まぁ筋は通さねーと。テメーのケツはテメーで拭けってこと」
「………うん」
と、まぁ俺の仕事はこんな感じか?
「というわけだ。まぁあとこっからは剛がどうするかだな」
「……おぅ。ありがとな…」
「…あー?なんだバカ!!メソメソしやがってよ!!女々しいなほんと!!」
「なんだとこら!!こっちが素直に感謝してんのによ!!」
「…タバコ」
「あ?」
「相談料金」
「クソっ…こいつ…」
「まぁいいじゃねーか。これで帳消しだろ?さっき散々殴られたしよー」
「……けっ。はいよ」
「毎度っ!!」
「……………。」
「ふーっ……。まぁとにかくよ、しっかりしなさいな。こんなん全然剛らしくねーよ」
「おぅ」
「でさ、次の文化祭ん時の曲なんだけどさ、たまには…」
この後ダンスの話して、やっと剛に剛らしさが戻った。
こいつは意外と繊細だし、周りが思うほど「何考えてるのか分かんない」やつじゃない。
寧ろ俺から見ればこんなに分かりやすいやついないって。
その癖に人一倍気を使ったり、空気読んでよ。
いつもは俺が相談に乗ってもらってるし。