夏の夜のお話・三姉妹-1
私は薄暗い夜道を裸足のまま歩き続けていた。
その先にはほんのりと光が射していて街の灯りなのか…
あるいはもっと違う何かの灯りなのか分からない。
どこまで歩くんだろう?…
そう思った時、前を歩く姉が振り返り私を指差した。
目が覚めたら私は裕之の隣にいた。
姉、涼子の夢を見たのは姉が死んでから初めてだった。
裕之の部屋で薄い掛布に裸の体をくるんで眠りを貪れる季節なのに私の指先は冷えて凍えたように震えていた。
私はまだ震えるその指先で裕之の背中に体をつけて腕や胸をそっと撫でさするのだった。
… … … …
週末。
私は裕之と過ごす事がすっかり普通になっていた。
それはつい、ひと月ぐらい前からであったが、私にはもうずっとそうしているような気さえするのだ。
もっとも、週末にしかベッドを共にしないから愛しくも感じるものかも知れないが共に暮らすにはまだ少し…
私と姉は仲良くなかった。
末に愛美という妹がいて、私と姉はお互い気まずさがあって愛美を介してなんとか姉妹でいれる状態だったのだ。
私は姉の涼子が嫌いだった。
そして、私たちは競って末の愛美を可愛がっていた。
姉が愛美に何かしてやると面白くないし、私が愛美に何かしてやると姉を疎外できたようで気分がいい。
姉の涼子が死んで私は姉の涼子と恋人だった裕之を手に入れた。
姉が寵愛していた愛美じゃなく、皮肉な事に反りが合わなかった私が姉の幸せをすべて受け継いだのだった。
… … … …
裕之はとても優しい人だったけど、セックスは激しかった。
広げた両脚を持ち上げて、その茂みの奥に顔を寄せると私はぐっと覚悟する。
痛いほどの刺激が私の体を縛りつけて、やがて激流にこの身を弄ばれるような快楽に私は悶絶するのだ。
痛いからやめて…
なぜかそれが言えないまま私はいつしかそんな愛撫の虜になってしまったのだろうか…
体中を唇と暖かい手で抱擁される甘い悦びと、時には痛いほど激しい悦び…
奥の奥まで激しく突き上げられ、時々私は腰を震わせたまま気を失ってしまう事もある。
それはそれで好きなんだけれど、姉の涼子はこんな激しい事が好きだったのかと思うと変な気分になる。