夏の夜のお話・三姉妹-2
私は裕之に訊いてみたい事があった。
姉はこんなセックスを好んだのかという事と…
一卵性の双子で他人から見たら見分けがつかない私は姉の涼子と同じ顔をして悦んでいるのだろうか?…
それはきっと、裕之自身も深く傷ついている事だろうと思ってとても訊く事などできなかった。
もしかしたら裕之は姉とつちかった夢の続きを仲の悪かった私に見ているのかも知れない…
姉はたしかに無類の男好きだったようだ。
いつだったか愛美と買い物に出かけてテラスでお茶を飲んでいると見知らぬ男の子が親しげに声をかけてきた。
その男の馴れ馴れしさから躰の関係を結んだ事が安易に知れた。
[ 悪いけど、私は涼子じゃないわ ]
[ 冗談だろ? ]
[ よく見なさいよ
涼子は双子の姉… ]
[ そういえば…
何か雰囲気違うなぁ… ]
[ そうね、私はあなたなんか知らないし… ]
[ そりゃぁ…悪かったね
それで涼子は元気にしてるの? ]
[ あなた知らないの?
涼子は死んだわ… ]
[ 死んだ!?… ]
… … … …
ある時、私は
妹の愛美が許せなくなった。
時折、裕之と二人で寄り添って何か話していて私が近寄ると、さっと離れて話題を変えるのである。
それは別に良かった。
どちらも私がこよなく愛する存在なのだ。
別に気に病む事もないはずだったのだが、その日の二人はいつになく妙に神妙な面持ちで何か話していたのだった。
それがその時、なぜか気に入らなかったのだ。
裕之は姉にそっくりな私に飽き足らないで妹の愛美にもあんな激しいセックスをするのだろうか?
愛美は私が涼子から奪い盗ったみたいに私からも恋人を横取りするつもりなのだろうか?…
私は生きているっ!
姉は死んだけど私はまだ生きているのだ。