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Lesson xxx
【学園物 恋愛小説】

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Lesson xxx UA-1

「榊先生。産休でご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします」

古典の石川先生が挨拶にきてくれた。

「臨時講師の方は南方さんとおっしゃる方なんで覚えておいてくださいね」

「わかりました。元気な赤ちゃんを産んでまた帰ってきてくださいよ」

口下手な俺だけどこれぐらいの事は言えるようになった。

俺も年だなぁ…。

次々とみんなに挨拶して回る石川先生の貫禄ある後ろ姿に笑いがこみあげた。





「今日からお世話になる南方です。短い期間ですがよろしくお願いします」

職員室の朝礼で挨拶するその顔は…。

どうして南方って聞いて思い至らなかったんだろう。

驚きを面に出さずに朝礼を終えた俺の背後から聞き慣れた声がした。

「榊先生。よろしくお願いします。って久しぶりって言った方がいい?」

「…………」

困惑気味の俺を面白そうに眺める。

「また後でね」

学年主任に呼ばれて俺のそばを離れて行ったのに安堵してそっとため息をついた。

南方彩。
大学の同級生で一緒に教職を目指した俺の元カノ。

俺と違って正式な教師になれず講師として教壇に立つ事になった彩とは喧嘩が絶えなくなり一緒にいるのがお互い苦痛になって別れた。

こんなところで再会とはね。





朝のホームルームで生徒に新しい講師が来ると連絡した。

生徒も前もって石川先生が産休に入るとわかっていたので特に混乱もなかった。

混乱してるのは俺だよ…。

つい神崎に目が向いてしまうが俺と彩の事を知らない神崎はいつも通り素知らぬ顔だった。





俺って意外に気が小さいよなぁ。

今日は神崎と一緒にいたい気分。

家で待ってるよう言った時に神崎が一瞬見せた嬉しそうな顔にすごく救われた気がした。
早く仕事を終わらせて神崎の待つ自宅に帰りたかったが雑用もあって思うように進まなかった。

息抜きに職員室を出て廊下をブラっとしてると空き教室から声がした。


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