秘密〜恋愛観〜-4
「お父さ?ん、美冬がヒドイ」
「私も美冬と同感だ」
「二人ともヒドイ!」
「お母さん」
これ以上いくと面倒くさくなるので、話を戻した。
「確かに陸先輩かっこいいよ」
「やっぱり?」
お母さんは話に乗っかってきた。
「でも、ちょっと変わった考えしててね、浮気するより浮気される方が悪いって言うの」
「あはは。
さすが彼女の子。
面白い考えね」
お母さんは楽しそうだ。
「私も彼女の考えについていけなかったり、振り回されたりしたけど、お互い違う考えを持っているからこそ、新たな発見があったりして、楽しかったわよ」
「ふぅん」
『へ?冗談じゃなかったんだ』
「そーなの。
もうびっくりしちゃった」
夕食後、私は部屋に戻り、彼氏の西河篤也(にしかわ あつや)と電話で今日のことを話した。
「それに、うちのお母さんと陸先輩のお母さんが友達ってのにもびっくりだよ」
私はベッドの上で仰向けになる。
『世間て狭いな』
篤也の笑い声が聞こえる。
「ねぇ、篤也は浮気する方が悪いと思う?
される方が悪いと思う?」
『ん?俺はどっちも悪いと思う。
状況にもよるから一概には言えないけどね』
「そっかぁ…」
『ん?何、俺が浮気するか心配?』
そう言った声から、篤也のニヤニヤした笑いが浮かぶ。
「全然。
篤也は浮気なんてしないもん」
私はきっぱりと答えた。
『良く言えました。
少しでも疑うようならデコピンくらわしてやろうかと思ったよ』
篤也の笑い声が聞こえた。
「だって、しないでしょ?」
『しませんよ。
だから夏実もするなよ?』
「しませんよ」
私と篤也は高3の時同じクラスになって、お互い受験の終わった頃から付き合い始めた。