秘密〜恋愛観〜-3
「メンクイ」
「えへっ」
えみはぺろっと舌を出した。
「なっちゃん、私陸先輩諦めるけど、部活は辞めないからね?
みー先輩もまぁ先輩も好きだし、恋愛対象としては見ないけど、やっぱ陸先輩も好きだもん。
今回のことで皆と縁切りたくないんだ」
「良かったぁ。
心配してたんだ。
えみがいなかったら寂しいよ」
「ごめんね、ありがとう」
えみのふんわりとした笑顔を見て、私は嬉しくなった。
「なっちゃんはい?なぁ彼氏いて。
私もはやく彼氏欲し?い」
「この間告られたくせに」
「言ったでしょ!?
入学して早々で、私相手の人全然知らないし、それに、『私のどこが良いんですか?』って聞いたら
『見た目』だよ!?
そんな人と付き合えないよ!」
「確かに。
そんなヤツ断って正解」
そんな話をしつつ、私たちは教室に入った。
家で、家族揃って夕食を食べていた時のこと。
「そういえば夏実、写真部に入部したのよね?」
母が突然そんなことを聞いてきた。
「そうだよ?」
「お母さん今日、久しぶりに友達数人と会ったんだけど、その中の一人のお子さんが夏実と同じ大学に通ってて、写真部らしいの」
「え!?誰!!?」
「確か結婚して…瀬田(せた)って言ったような…」
「瀬田って、瀬田陸先輩!?」
「うん、陸って言ってた気がする。
教育学部?」
「うん、教育学部、英語科」
「じゃあ、その子だ」
「へ?、お母さんと陸先輩のお母さんが友達なんだ」
「そうよ。
その陸君て、結構かっこよくない?」
「会ったことあるの?」
「会ったのは小さい時だけど、あの夫婦美男美女だから、子どももイケメンなんだろうなっと思って」
「お母さん、『イケメン』って…歳考えてよ…」
そう言ったのは妹で高2の美冬(みふゆ)
「え?ダメ?」
「ってか、キモイ…」
うんざりしてる美冬。