距離〜佐山から見た視点 2〜-1
テスト勉強にも疲れたんで、ちょっと休憩。
美沙はまだ生徒会の仕事だろうし、とりあえず連絡来るまで屋上にいようかな。
放課後。
屋上への扉。
既に鍵は開いていた。
ということは先客がいる。
「あ」
剛くんだ。
イヤホンをして、制服のブレザーを脱いだ姿で踊ってる。
その様子だと、私にはまだ気づいてないな。
「テスト勉強期間中にダンスとは、気楽なもんだね」
聞こえてないのを承知で、話しかけてみる。
案の定、シカトされた。
暫く、観察することにした。
しかし上手いなー。
素人の私から見ても凄いもん。
…おっ。
おっ。
すごっ。
今の何だっけ……あ、スケアクロウだ。
で…ウェーブ…タット…ダイムストップ…今のは分かんないな…で、あ、ちょっとc-walkっぽい。
それにしても、私もかなり技の名前とか覚えたなぁ…。
名前覚えただけで、一つも私は出来ないけど…。
…そういえば剛くんのダンスを一人でまじまじと見るのって、久しぶり。
千華ちゃんは、いつも間近で見れてるんだろうな…。
「あ」
剛くんがターンした瞬間、目が合った。
一言発して、動きを止めた。